大切なものは 日々の中に 陽と月の下に 詩生
by sanctuarys
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彩り

昨年植えたライラックの花が満開。
やわらかな色合いが、まだ殺風景な庭に彩りをもたらす。
小さな木で心配したけれど、元気に根付いたよう。
よかった。
今年の桜記〜花びら

桜吹雪は一瞬の出来事。
風を読んで読んで待っても、いつも風にはぐらかされる。
雪のように舞って風に運ばれる桜吹雪を見ていると、一瞬時が止まる。
写真に収めるにはまだまだ、なかなか。
足もとには無数の花びら。
子どもの頃に好きだった浜田広介の「花びらのたび」を思い出す。
花びらのひとつひとつが、意思を持ったひとつひとつに見えてくる。
花びらはそれぞれたびをして、降り立ったところで目を閉じるのかな。

今年の桜記〜月日

子どもの頃に通った学校は昔に廃校になり、校舎だけが残っている。
小さな村は、ひとつのグラウンドを囲むように保育園と小中学校があった。
学校の裏手は山が迫っていて、中腹にローカル線の駅がある。
駅じゅうが桜で覆われていて、ホームへ上る階段や坂は桜のトンネルになっていた。
桜は駅から学校を包むように見おろしていた。
桜の季節に何十年ぶりに訪れてみると、桜の木も年をとっている感じがした。
汽車を使う人も少なくなり、見おろす校庭に子どもの声もしない。
桜は家族を思うように見守る人が要るというけれど、ここの桜はどこか寂しそうな気がした。
喜んで見上げてくれる人がいたり、木の下ではしゃいだりする人がいるのがいいのだね。
人が少なくなってひっそりしても毎年変わらずに咲いたのだろうな。
たくさんの鳥がにぎやかに枝を渡っていた。

今年の桜記〜鳥がはこぶ

山の高いところに、もくもくと桜が茂る。
桜の咲く時期だけ、あそこに桜の木があるんだなということがわかる。
鳥が運んだのだろう。
ムクドリは桜の実が好きで、ヒヨドリは花の蜜が好きらしい。
鳥が渡り歩くことで、新種の桜も生まれるそう。
桜も進化や変化をしているんだね。
鳥の糞から落ちた実がそこ根付いて芽を出し、大きくなる様を、
山奥にある桜を見ると思い描いてしまう。
たぶん少なくとも30年以上の月日がかかっている。
人の知らないところで営まれた木の成長と時間の流れはなんてゆっくりで、
自然の速度を教えてくれる気がする。
朝霧の中で、桜も朝を迎えたんだなと思ってながめる。

今年の桜記〜つつみこむように

「桜はかならず下をむいて咲きます。
ほかの花は太陽にむかって咲くのに、桜は下をむく。
それだけ人をつつみこんでるのやと思います。」
「桜守のはなし」佐野藤右衛門/講談社 より
雨が降って、散り際の桜はみないっそう下をむいている。
ひとつのしずくが、桜の花びらには重そうだ。
それでもふだんの雨や風に、すぐに花が終わるわけではない。
夜中降る雨や、吹き荒れる風の日にもなぶられながら耐えているのを見ると、
花ははかないとはいえない、それより案外強いのかもと思うことが多い。
時が来たら終わるのだ。
花が終わるのを寂しく思わなくていいのだなと思う。
今年もつつみこまれたことに感謝して。

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